科学技術研究の行きつく先?
最近、「研究所」というものの所在が曖昧(というかなくなりつつ・・・)ありますが、では「新規の」科学技術研究の行きつく先(組織・枠組み)はどういったところになるのか?を考えたとき、アメリカ国防高等研究計画局(Defense Advanced Research Projects Agency;DARPA)が行っていることがどうもしっくりくるような気がしています。
アメリカ国防総省・国防総省内部部局。大統領と国防長官の直轄の組織でありアメリカ軍から直接的な干渉を受けない組織になっている。構成人員は300人ほどで組織としては小さい。
DARPA長官の下には約150名の技術系職員がプロジェクトマネージャーとして各分野の研究をおこなっている。技術系職員は公募で任期は4~6年で大半は民間人であり軍人は少ない。DARPAの主な活動は最先端科学技術の速やかな軍事技術への転用である。その中でも軍や科学技術基金などの組織が投資を行わない隙間への投資を積極的に行う。そのため、固定観念に囚われない自由度の高い研究への投資を重視している性質から、一見すると空想的だったりトンデモに見えるような研究内容が多数ある。[要出典]
予算はアメリカ国防総省の科学技術開発費の25%と決められており、2007年度予算は32億ドルになる。DARPAの研究施設という建物は存在せず、実際の研究はプロジェクトマネージャーが企業や大学の研究施設で行っている。
国防高等研究計画局は軍の研究開発機関とは独立しており軍や議会からの批判や抵抗を受けないという特徴を持つ。
軍の研究機関でありながらアメリカ軍からの直接的干渉を受けず、独立性を保っているところが良いですね。
それから、直接ハコ(研究所)を持ってないのも良いと思います。
結局、ハコ(研究所)を作ってしまうと、その組織の一員としての行動が定められることになってしまい、それだけでも思考の幅が狭まる可能性があると感じます。
任期が定められているのも良いですね。
ダラダラやっても成果が出ないものは出ないですからね。
研究の選定方法にしても、以下のようにあり、挑戦する目標や評価ポイントも明確なので分かりやすい。
- プロジェクトマネージャーと長官と政府、国防総省などの三者間でアイディアと提案の意見交換を行う。
- 挑戦する目標を決定する。
- 解決方法の妥当性評価
- 評価ポイントの設定
- 公募仕様書 (DARPA Operation Plan) の作成
- 公募を実施
- 実施者を選定
- 実施者との契約
DARPAをベタ褒めしてしまいましたが、新規の研究の行きつく先として、妥当なのかなと思っております。
基礎研究に関しては、こつこつとした積み重ねが重要と思いますし、研究所というハコでやってもよいかとは思います。
DARPAの研究で面白いと思うものはいくつかあるんですが、
BIGDOGはTVでも放映されていたことがありましたね。
Boston Dynamics (DARPA) BIGDOG Robot
脳機能の生態修復機能について、興味を抱いていたところに、こんな研究をやっているのも見つけました。面白い。
体のある部位に腫瘍などができたときに、脳でその部位をつかさどるところに損傷ができている場合が多いとのことで、脳の損傷部位を回復させると体の部位の腫瘍が消えるというやつに関連してるっぽい。
Work Begins to Support Self-Healing of Body and Mind
DARPA has selected seven teams of researchers to begin work on the Agency’s Electrical Prescriptions (ElectRx) program, which has as its goal the development of a closed-loop system that treats diseases by modulating the activity of peripheral nerves. The teams will initially pursue a diverse array of research and technological breakthroughs in support of the program’s technical goals. Ultimately, the program envisions a complete system that can be tested in human clinical trials aimed at conditions such as chronic pain, inflammatory disease, post-traumatic stress and other illnesses that may not be responsive to traditional treatments.
従来にない新しい発見なんて、トンデモからしか生まれないのではとも思う今日この頃。